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猫はなぜトイレに砂をかける?じつは奥深い猫のトイレ事情

猫がトイレに入って、
ザッザッザッ……。
用を足して、
またザッザッザッ……。
なんで猫って、トイレのあとにあんなに一生懸命砂をかけるんでしょう?
しかも、きれいに隠す猫もいれば、まったく隠さない猫もいる。
砂ではなく、なぜかトイレの壁をずーっとカキカキしている猫もいます。
「いや、そこ掘っても何も隠れんよ?」
なんて思ったことがある飼い主さんもいるのではないでしょうか。
実は、猫がトイレで砂を掘ったり、排泄物に砂をかけたりする行動は、猫がもともと持っている排泄行動のひとつです。
今回は「猫はなぜトイレに砂をかけるの?」という素朴な疑問から、砂をかけない猫、壁をカキカキする猫、猫が好みやすいトイレや猫砂まで。
毎日見ているけれど意外と知らない、猫のトイレ事情をのぞいてみましょう。
猫がトイレに砂をかけるのはなぜ?
まず結論からいうと、排泄物を砂などで覆うこと自体が、猫の正常な排泄行動のひとつです。
猫の一般的な排泄行動では、静かで落ち着ける場所を探し、前足で地面を掘ってくぼみを作ります。
そこで排泄し、終わったあとには前足などを使って排泄物を覆います。
つまり、
場所を探す → 掘る → 排泄する → 砂をかけて覆う
というところまでが、猫にとってはひとつながりの行動なんですね。
では、なぜわざわざ排泄物を隠すのでしょうか。
よく「敵に居場所を知られないため」と説明されますが、猫の排泄物を覆う行動については、それだけが唯一の理由だと断定できるわけではありません。
排泄物のニオイを抑えることや、周囲の猫との関係など、複数の意味があると考えられています。
野生で暮らす猫もウンチを砂に埋めるの?
ここ、おもしろいところです。
人と暮らす猫だけが、猫砂を見て「よし、埋めよう」と覚えたわけではありません。
屋外で暮らす猫でも、排泄物を覆う行動が観察されています。
ところが、いつでも必ず埋めるわけではないようです。
野外の猫を観察した研究では、生活圏の中心部では糞を埋める一方、生活圏の周辺では埋めずに残す行動が観察されています。
なぜ場所によって違うのかについては、まだはっきりわかっていません。
中心部ではニオイや寄生虫を抑える意味があり、周辺部ではそこまで覆う必要がない可能性なども考えられています。
猫の排泄物にはニオイという情報があります。
だからといって、
「ウンチを隠さない=縄張りを主張している!」
と単純に決めつけられるほど、猫の世界は簡単でもないようです。
猫のニオイによるコミュニケーションには複数の意味があると考えられており、現在も完全に解明されているわけではありません。
猫がトイレに入る前に砂を掘るのはなぜ?
猫を見ていると、排泄したあとだけでなくトイレをする前にも砂をホリホリしていますよね。
これも正常な排泄行動の一部です。
猫は排泄する場所を決めると、前足で砂や土を掘り、排泄するためのくぼみを作ります。
そこに排泄し、最後に砂をかけて終了。
つまり猫にとって、
「砂を掘れること」そのものが、気持ちよくトイレをするための大切な要素
ともいえます。
猫砂の種類やトイレの大きさによっては、この一連の動作がしにくくなることもあります。
トイレのあとに砂をかけない猫もいるけど大丈夫?
います。
めちゃくちゃ丁寧に隠す猫もいれば、
「終わった。じゃ。」
くらいの勢いで去っていく猫もいます。
砂をかけないという行動だけで、すぐに異常だと判断する必要はありません。
猫によってトイレや猫砂の好みが異なるほか、排泄前後の掘る・覆う行動にも個体差があります。
また、
「砂をかけない猫は自分が一番強いと思っている」
「ボス猫だからニオイを隠さない」
といった話を見かけることがあります。
野外の猫が糞を埋めずに残すこと自体は観察されていますが、家庭の猫が砂をかけないという行動だけから「自分をボスだと思っている」と判断することはできません。
猫って、そんな簡単には読ませてくれないんですね。
砂じゃなくてトイレの壁をカキカキするのはなぜ?
砂をかける。
……と思いきや、
カッ、カッ、カッ、カッ。
掘っているのはトイレの壁。
さらに、
カッ、カッ、カッ。
今度は床。
「そこじゃない。砂は下。」
と言いたくなる、猫トイレあるあるです。
実は研究でも、猫が砂そのものではなく、トイレ本体や周囲の床・壁を引っかく行動が観察されています。
排泄物を覆うような動きをしながら別の場所を引っかくことから、「mimic covering」と分類されることもあります。
一方、トイレの側面や周辺を引っかく行動は、トイレ環境への不満を示す可能性がある行動として研究で扱われることもあります。
壁をカキカキしている=必ずトイレが嫌い、というわけではありませんが、トイレ環境を見直すヒントにはなります。
「うちの猫、めちゃくちゃ壁掘るんだけど……」
という場合は、トイレの大きさや猫砂、掃除の状態などもチェックしてみてもいいかもしれません。
猫はどんなトイレが好き?
人間からすると、
「省スペース」
「砂が飛び散りにくい」
「見た目がおしゃれ」
「ニオイが漏れにくい」
そんなトイレを選びたくなります。
でも。
そのトイレを実際に使うのは、猫。
猫側には猫側の都合があります。
猫は広いトイレを好む傾向がある
猫は排泄するとき、ただその場にしゃがむだけではありません。
砂を掘り、排泄し、体の向きを変え、砂をかける。
意外と動きます。
研究では、小さなトイレよりも大きなトイレを好む傾向が報告されています。
猫のトイレについては、猫の体長の約1.5倍程度の大きさがひとつの目安として推奨されています。
「ちゃんとトイレに入れているから大丈夫」ではなく、猫が中で向きを変えたり砂をかけたりできるスペースがあるかも見てみましょう。
猫砂にも好みがある
猫砂って、本当にいろいろありますよね。
紙、木、鉱物系、大粒、小粒、香り付き……。
近年の研究では、猫は木や紙の猫砂よりも固まる粘土系の猫砂を好む傾向が確認されています。
過去の研究でも、
細かく砂に近い粒・やわらかく掘りやすい・無香料・固まって取り除きやすいもの
などが猫に好まれやすい傾向として報告されています。
ただし、もちろん猫にも個体差があります。
「人気の猫砂=うちの猫も絶対好き」ではないということですね。
フタ付きとオープン、どっちがいい?
これも飼い主としては気になるところ。
フタ付きなら砂が飛び散りにくいし、排泄物も見えにくい。
一方で猫からすると、ニオイがこもったり、周囲を確認しにくかったりする可能性があります。
ただし、フタ付きとオープンタイプを比較した研究では、猫全体として明確な好みの差が出なかったという結果もあります。
その研究では、一部の猫には明確な個体の好みがありました。
つまり、
「絶対オープンがいい」「フタ付きはダメ」と一律に決めるより、その猫が実際にどちらを好むかを見ることが大切。
猫砂と同じく、猫本人に聞くのが一番です。
……しゃべってくれないので、使い方を見るしかありませんが。
猫のトイレはどのくらい掃除したらいい?
猫はトイレの清潔さにも敏感です。
猫の排泄トラブルに関するガイドラインでは、排泄物は少なくとも毎日取り除くことなど、トイレを清潔に保つことが重要とされています。
特にフタ付きトイレは、飼い主から排泄物が見えにくいぶん掃除のタイミングを逃してしまうことも。
「まだいけるやろ」
と思っているのは人間だけで、
猫からしたら、
「いや、無理です。」
かもしれません。
猫が気持ちよく砂を掘れるよう、こまめに排泄物を取り除いてあげましょう。
急に砂をかけなくなった・トイレを使わなくなったら?
もともと砂をかけない猫なら、それがその子のいつものスタイルということもあります。
一方で、
今までしていた行動を突然しなくなった
という場合は少し話が変わります。
排泄時の痛みなどを経験すると、そのトイレ自体を避けるようになることもあります。
また、トイレ以外で排泄するようになった場合も、「嫌がらせ」「わざと」と決めつけるのはNG。
猫のトイレ以外での排泄には、トイレ環境だけでなく、身体的な問題やストレスなどさまざまな要因が関係します。
排泄回数や尿・便の状態がいつもと違う、排泄しようとしているのに出ない、痛そうにしているなどの変化がある場合は、動物病院に相談しましょう。
猫のトイレについてよくある質問
猫がウンチに砂をかけないのはなぜ?
猫によって排泄後に砂をかける程度には個体差があります。
猫砂の感触やトイレの大きさ、清潔さなどが影響している可能性もあります。
砂をかけないという行動だけで「ボスだから」「縄張りを主張しているから」と決めつけることはできません。
猫がトイレの砂をずっと掘っているのはなぜ?
砂を掘ること自体は、猫の正常な排泄行動のひとつです。
ただし、長時間掘り続けたり、なかなか排泄できなかったり、何度もトイレに出入りしたりする場合は、トイレ環境だけでなく体調にも注意しましょう。
猫がトイレの壁をカキカキするのはなぜ?
排泄物を覆うような動作として、砂ではなくトイレ本体や床、壁を引っかく猫もいます。
一方で、こうした行動がトイレ環境への不満と関連する可能性を調べた研究もあります。
頻繁に見られる場合は、トイレの大きさや猫砂、清潔さなどを見直してみましょう。
猫は砂がないとトイレできないの?
猫には排泄前に地面を掘り、排泄後に覆うという行動があります。
そのため、掘ることができる素材は猫の自然な排泄行動をしやすくします。
ただし猫砂にも好みがあり、すべての猫が同じ素材を好むわけではありません。
猫のトイレはフタ付きとオープンタイプのどちらがいい?
どちらか一方をすべての猫が好むとは限りません。
フタ付きとオープンタイプを比較した研究では全体として明確な差はなく、一部の猫に個別の好みが確認されています。
トイレの形だけでなく、大きさや猫砂、清潔さ、設置場所なども含めて、その猫が使いやすそうな環境を探してあげましょう。
猫のトイレ、じつは猫らしさが詰まっていました
毎日当たり前のように見ている、猫のトイレ。
砂を掘って、用を足して、また砂をかける。
何気ない行動ですが、そこには猫がもともと持っている排泄行動が残っています。
そして、きっちり砂をかける猫もいれば、そのまま颯爽と去っていく猫もいる。
砂ではなく、一生懸命壁をカキカキしている猫もいる。
トイレひとつ見ても、やっぱり猫ってそれぞれなんですね。
毎日のお掃除はちょっと大変だけど、次に猫がトイレへ入ったら、こっそり観察してみてください。
「あ、今ちゃんと穴掘ってる」
「今日も壁を掘ってる……」
なんて、いつものトイレタイムがちょっとだけおもしろく見えてくるかもしれません。