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猫から人にうつる病気は?厚生労働省の資料から猫に関係する感染症を調べてみた
猫と暮らしていると、顔を近づけたり、一緒に寝たり、ときには引っかかれたり。
距離が近いからこそ、ふと気になるのが、
「猫から人にうつる病気ってあるの?」
ということ。
結論からいうと、猫から人へ感染する可能性がある「動物由来感染症」はあります。
でも、だからといって猫との暮らしを怖がる必要はありません。
大切なのは、どんな感染経路があるのかを知り、普段の暮らしの中でできる対策をしておくことです。
そこで今回は、厚生労働省が公開している「動物由来感染症ハンドブック」などの公的資料から、猫に関係する感染症をnekotoniko編集部でピックアップ。
「猫からどうやって人にうつる可能性があるの?」という猫飼い目線で整理してみました。
猫から人にうつる病気はある?
猫を含む動物から人へ感染する病気は、「動物由来感染症」や「人獣共通感染症」と呼ばれています。
厚生労働省によると、動物から人への感染経路には、大きく分けて「直接伝播」と「間接伝播」があります。
猫との暮らしで考えると、たとえば次のようなケースです。
- 猫に咬まれる・引っかかれる
- 猫に傷口などをなめられる
- 猫の排泄物に触れる
- 猫の毛や皮膚に直接触れる
- 猫についたマダニなどを介して感染する
つまり、「猫を触っただけで何でもうつる」という話ではありません。
病気によって、感染経路も感染リスクも大きく異なります。
厚生労働省の資料から猫に関係する感染症を整理してみた
厚生労働省の「動物由来感染症ハンドブック」では、猫に関連する主な感染症として複数の病気が挙げられています。
今回nekotonikoでは、猫との暮らしでイメージしやすいように、感染経路ごとに整理しました。
| 主な感染経路 | 感染症の例 |
|---|---|
| 咬まれる・引っかかれる | 猫ひっかき病、パスツレラ症、カプノサイトファーガ感染症など |
| 猫や排泄物との接触 | トキソプラズマ症、回虫症など |
| 皮膚や毛との接触 | 皮膚糸状菌症 |
| 感染した猫の体液との接触 | SFTSなど |
| その他 | Q熱、コリネバクテリウム・ウルセランス感染症、狂犬病など |
※厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック」で猫に関連する主な感染症として掲載されているものを、nekotoniko編集部が感染経路をもとに整理しています。
ここから、それぞれの病気を見ていきましょう。
猫に咬まれたり引っかかれたりして感染する可能性がある病気
猫との暮らしで比較的イメージしやすいのが、咬み傷や引っかき傷から病原体が体内に入るケースです。
猫ひっかき病
その名のとおり、猫に引っかかれたり咬まれたりすることなどによって感染する可能性がある病気です。
原因となるのは「バルトネラ」という細菌です。
猫自身は感染していても症状を示さないことがありますが、人では傷の近くのリンパ節が腫れたり、発熱などの症状が現れたりすることがあります。
猫との接触後にリンパ節の腫れなどが続く場合は、医療機関を受診し、猫との接触歴を伝えましょう。
パスツレラ症
パスツレラ症も、猫の咬み傷や引っかき傷などから感染する可能性があります。
厚生労働省のハンドブックでは、猫に関連する主な動物由来感染症のひとつとして挙げられています。
猫に咬まれた傷は、一見小さく見えても深いことがあります。
「ちょっと血が出ただけだから大丈夫」と放置せず、傷口をよく洗い、腫れや強い痛みなどがある場合は医療機関へ相談しましょう。
カプノサイトファーガ感染症
ちょっと聞き慣れない名前ですが、猫や犬の口の中にいる細菌によって起こることがある感染症です。
厚生労働省が1993年から2017年末までに国内で確認した93例では、猫の咬傷・掻傷が原因とされたケースが20例ありました。
また、猫や犬との接触歴だけが確認されたケースもあります。
多くの人が猫と触れ合えば発症するような病気ではありませんが、重症化すると敗血症などを起こすことがあります。
厚生労働省は、猫や犬に咬まれたり引っかかれたりした場合は、傷口を石けんと流水でよく洗うよう案内しています。
傷が小さくても、後から体調に異変が出たときに医師へ伝えられるよう、「猫に咬まれた・引っかかれた」という事実を覚えておくことも大切です。
参考:厚生労働省「カプノサイトファーガ感染症に関するQ&A」
猫の排泄物などを介して感染する可能性がある病気
猫そのものに触れるだけでなく、排泄物やそれによって汚染された環境が感染経路になる病気もあります。
トキソプラズマ症
猫と感染症の話で、よく名前が挙がるのがトキソプラズマ症です。
トキソプラズマという寄生虫によって起こり、猫はその生活環の中で重要な役割を持っています。
ただし、「猫を飼っている=トキソプラズマ症になる」というものではありません。
人への感染経路には、猫の糞便に由来するものだけでなく、加熱が不十分な肉や汚染された土などもあります。
特に妊娠中の初感染では胎児への影響が問題になることがあるため、妊娠中は猫のトイレ掃除や生肉の扱いなどについて、より注意が必要です。
猫のトイレを掃除した後は、石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。
回虫症
猫回虫などの寄生虫の卵が、人の口から入ることで感染することがあります。
猫の糞便などによって汚染された土や砂を介して感染する可能性もあるため、猫のトイレ掃除後の手洗いはもちろん、屋外で土や砂に触れた後も手を洗うことが大切です。
特に小さな子どもは、汚れた手を口に入れてしまうことがあるため注意したいところです。
猫の皮膚や毛との接触で感染する可能性がある病気
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は、真菌、いわゆるカビの仲間によって起こる感染症です。
感染した猫との接触などによって、人に感染することがあります。
猫では脱毛などが見られることがありますが、見た目だけで判断することはできません。
猫の皮膚に気になる症状がある場合は動物病院へ、人にも皮膚症状が出た場合は医療機関へ相談しましょう。
猫の治療だけ、人の治療だけで終わらせず、同じ家庭内で感染が繰り返されないようにすることも大切です。
近年特に注意したいSFTS
猫に関係する動物由来感染症の中でも、近年とくに注意したいのが重症熱性血小板減少症候群(SFTS)です。
SFTSは、主にウイルスを保有するマダニに刺されることで感染する病気です。
しかし、SFTSを発症した猫や犬との接触によって、人が感染したと考えられる事例も報告されています。
感染した猫の体液から人へ感染する可能性がある
厚生労働省によると、SFTSを発症している猫や犬の血液や唾液などの体液に直接触れた場合、感染する可能性があります。
実際に、猫に咬まれたことが原因と考えられる人の感染例や、発症した動物の診療にあたった獣医療関係者の感染例も報告されています。
一方で、厚生労働省は、発症していない猫や犬、屋内のみで飼育されている猫や犬から人へ感染した事例は、これまで報告されていないとしています。
つまり、「猫と暮らしているだけでSFTSに感染する」と過度に怖がる必要はありません。
外に出る猫はマダニ対策を
猫をマダニから守ることは、猫自身のためにも、飼い主のためにも大切です。
厚生労働省は、ペットがマダニに刺されないよう、ダニ駆除剤について獣医師へ相談することを勧めています。
また、猫に発熱や元気消失、嘔吐などの体調不良が見られる場合は、素手で体液に触れることを避け、動物病院へ相談しましょう。
参考:厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」
ほかにも猫に関連するとされる動物由来感染症がある
厚生労働省のハンドブックでは、このほかにも猫に関連する主な感染症として、次のような病気が挙げられています。
Q熱
Q熱は、細菌の一種によって起こる感染症です。
猫を含むさまざまな動物が関係する可能性がありますが、一般的な猫との日常的な触れ合いだけで頻繁に感染する病気というわけではありません。
出産時の胎盤や体液などが感染源になることもあるため、猫の出産に関わる場合は衛生管理に注意が必要です。
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
猫や犬などの動物との接触が関係した感染例が報告されている感染症です。
人では、のどの痛みなどから始まり、ジフテリアに似た症状を起こすことがあります。
猫に鼻水やくしゃみなどの体調不良が見られる場合は、顔を近づけすぎるなどの濃厚な接触は避け、動物病院へ相談しましょう。
狂犬病
「狂犬病」という名前ですが、感染するのは犬だけではありません。
猫を含む哺乳類も感染する可能性があります。
日本国内では長期間発生が確認されていませんが、海外では現在も発生している地域があります。
海外で不用意に猫や犬などの動物へ触れたり、咬まれたりしないことが大切です。
猫からの感染症を防ぐために普段からできること
ここまで読むと、
「猫と暮らすの、怖くない……?」
と思うかもしれません。
でも、厚生労働省が案内している基本的な対策は、決して特別なことばかりではありません。
猫に触れた後やトイレ掃除後は手を洗う
感染症対策の基本は手洗いです。
特にトイレ掃除や排泄物の処理をした後は、石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。
咬まれたり引っかかれたりしたら傷をよく洗う
猫に咬まれたり引っかかれたりした場合は、小さな傷でもまず流水と石けんでよく洗います。
傷が深い、腫れや痛みが強くなる、発熱するなどの異変がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
受診するときは、「猫に咬まれた」「猫に引っかかれた」と伝えることも大切です。
猫の体調管理をする
動物由来感染症の予防は、人だけの問題ではありません。
猫の健康状態を日頃から確認し、必要に応じて寄生虫やマダニの対策を行うことも大切です。
猫の様子がおかしいときは、「もう少し様子を見よう」と無理に抱きかかえたりせず、動物病院へ相談しましょう。
過度なスキンシップは避ける
猫がかわいい。
顔を近づけたい。
一緒のお布団で寝たい。
わかります。
非常にわかります。
ただし厚生労働省は、動物由来感染症を防ぐため、口移しで食べ物を与えるなどの過度な触れ合いを避けるよう案内しています。
猫との距離は近くても、衛生面ではちょっとだけ節度を。
愛はそのままで大丈夫ですにゃ。
こんなときは「猫との接触」を医師に伝えよう
感染症は、症状だけを見ても原因がすぐに分からないことがあります。
そのため、猫との接触後に体調を崩して医療機関を受診する場合は、
- 猫に咬まれた
- 猫に引っかかれた
- 傷口を猫になめられた
- 体調を崩している猫と接触した
- 猫にマダニがついていた
- 野良猫や弱っている猫に触れた
など、心当たりがあれば医師に伝えましょう。
特に、咬み傷や引っかき傷の後に強い腫れや痛み、発熱などがある場合は、自己判断で様子を見続けないことが大切です。
猫との暮らしを怖がるより、正しく知っておこう
厚生労働省の資料を調べてみると、猫に関連する動物由来感染症は思っていたよりたくさんありました。
でも、今回紹介した病気の多くは、猫と同じ部屋で普通に暮らしているだけで次々とうつるようなものではありません。
感染経路を知り、
- 手を洗う
- 排泄物を適切に処理する
- 咬み傷や引っかき傷を放置しない
- 猫の健康管理をする
- 体調不良の猫とは無理に濃厚接触しない
といった基本的な対策をしておくことが大切です。
猫と人は、違う生き物。
だからこそ、お互いに持っている病原体が違うこともあります。
怖がって距離を置くのではなく、知ったうえで、ちょうどいい距離で一緒に暮らす。
そのほうが、猫にとっても人にとっても安心です。
今日も手を洗って、猫さまと仲良く暮らしていきましょうにゃ。
※本記事は、厚生労働省などの公的資料をもとに、猫と人との間で感染する可能性がある主な感染症について一般向けに整理したものです。症状や感染の可能性について個別に判断するものではありません。体調に異変がある場合は医療機関へ、猫の体調に異変がある場合は動物病院へ相談してください。